ハクメイ

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陽が沈みかけ、薄明の空が広がる田舎道。
そこを、一人の女性が、車椅子を押しながら歩いていた

車椅子に座っているのは、薄紫の髪を伸ばし、空色の眼をした女性だ。
足が膝上でなくなり、黒いスーツが、この人はこれが正解だと見せつけるような、そんなオーラを放っている。

車椅子を押しているのは、茶色の髪をおだんごでまとめ、黒いスーツが似合わない女性だ。
二人のスーツの胸元には、同じ盾の刺繍があしらわれている。

「生命(せいめい)さん、今回もサポート、ありがとうございます。私一人だったら、何もできなかったです…」
車椅子を押しながら、彼女は言った。
生命と呼ばれた、車椅子の女性は
「なに、喝を入れただけだ。それよりも走勧(そうか)、随分と手際が良くなったな。流石だ」
「そ、そそそ、そんな!う、嬉しいですぅ!」
走勧と呼ばれた女性は、ハンドルを持つ手に力が入った

「走勧、お前の正義はなんだ?」
「正義、ですか?それは勿論、"命と権利を守ること"です。当たり前のことを聞いて、どうしたんですか?」
生命は、軽い笑みを浮かべた。

「いや…なんでもない。ただ、誰よりも正義を狂うほど信じているお前が、誇らしいなと思っただけさ」

お題『誰よりも』

2/16/2026, 1:29:32 PM