「さむっ。」
校門を出た瞬間、思わず呟いた。
「いやそれなー。マジで寒いよね、最近。」
「手袋とマフラーないと、本当むりぃ。」
「本当そうだよね。私も今日ダウン着てきた。」
「え、いいなー。暖かそう!」
「でしょー。お母さんに新しく買ってもらったんだよねー。」
そんなたわいもない会話を交わしながら、私たちは駅へ向かって歩く。
冷たい空気が肌を刺し、アスファルトからは湿った匂いがふわりと立ちのぼる。来週には雪が降り始めるらしい。いよいよ冷え込みが厳しくなってきて、本格的に寒さ対策をしなければならない季節だ。
吹きつける風にマフラーが揺れ、思わず首をすくめる。寒いのは苦手だ。かといって暑がりでもない。ただ毎年のように思う。急に寒くなるのだけは、本当にやめてほしい。せめて少しずつ、ゆっくりと冷えていってくれればいいのに――そう願うばかりだった。
冬の足音はもうすぐそこまで近づいている。
冬の匂いがする。
雪が降ったら何をしよう?
曇りがかった空から夕日が差し込んでいた
「冬の足音」
12/4/2025, 1:27:17 AM