【誰よりも】
「…王子!」
2つ年上の王子に声をかければ、
彼は微笑みツリ目が一層細くなる。
その猫のような瞳が私は好きだ。
誰よりも好きな自信があった。
「あの方もついに婚約かぁ」
ある日父さんの言葉を聞くまでは。
許嫁が居るのは分かっていた。
なのに、いざ現実を突きつけられると
胸には黒い焦げたような塊ができる。
誰よりも優しい人だ。
私が今更告白しても、困った笑みを
浮かべて受け止めてくれるだろう。
でも、そんな優しさならいらない。
いっそ冷たく突き放して。
嫌いだと罵って。
この恋に蓋をするには、私はまだまだ
幼い子供なのだと痛感した。
2/16/2026, 10:40:30 AM