優羽

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バレンタイン

甘い香りの招待状
​ 二月で、もっと自由な、感謝を分かち合う日へと姿を変えている。
​ 今年の私は、台所でひとり、静かにチョコレートと向き合う時間を持った。ボウルの中でゆっくりと溶けていく黒い塊を見つめていると、不思議と心が整っていく。丁寧に温度を測り、慎重に混ぜ合わせる。そのひと混ぜごとに、日頃は照れくさくて言葉にできない「ありがとう」の気持ちを閉じ込めていくような感覚だった。
​ 出来上がったお菓子をラッピングし、大切な人たちへ手渡す。その瞬間の、相手の少し驚いたような、そして和らいだような表情。その笑顔を見るだけで、私の胸のうちは温かな充足感で満たされた。
​ 思えば、私たちは日々の忙しさに紛れ、身近な人への想いをおざなりにしてしまいがちだ。バレンタインという一日は、そんな私たちが立ち止まり、誰かを想うための「招待状」なのかもしれない。甘いお菓子は、単なる食べ物ではなく、心の距離を縮めてくれる魔法だ。来年もまた、この優しい香りに包まれながら、大切な人たちとの絆を確かめ合いたいと思う。

2/15/2026, 2:26:47 AM