大狗 福徠

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花束
ひしゃげた花束が道端に転がっている。
踏み潰されたそれをなんとはなしに拾い上げる。
黄色を中心に構成された花束だ。
贈られた人はきっと、黄色が好きか似合うかだったんだろう。
しかし拾い上げたとて、
その荒らされようをどうにもすることはできないのだ。
花屋でもなければ魔法使いでもない。
丹念に崩された花は花弁どころか茎の全域に至るまで平べったい。
それでも、一縷の望みをかけて踏まれない高台に花を担ぎ上げる。
担ぎ上げた所で、花にとっては関係ないだろう。
なぜなら、花々は茎を切られたその時点で死んでいるのだから。
殺されたその上で、自らの死体を弄ばれる。
この花束は、一体前世でどんな罪を犯したというのだろう。
子をなす中途で首を切られ、見世物扱い。
最終的にはゴミ扱いで踏み潰される。
なんて痛ましい。
その切られた首の塊に自我はないであろうことが、
唯一の救いだろうか。
黄色の花々は潰れながらも自己を失わずいる。
もしや、花は罪人の生まれ変わりなどではなかったのか。
これらは罪を犯したからではなく、
その高潔さゆえに花になったのか。
であれば尚更痛ましい。
斯様にも素晴らしい者共は、結局は搾取されるだけなのか。
いくら道を切り開こうが、言葉を与えようが、日差しとなろうが、
何も言われることなく踏み潰されて糧となるだけなのか。
この花は、なんなのだろう。
罪人か、善人か。
或いはその両方か。
頭を撫でたその優しい手で頬を打ち、
人を殺しに行ったその足で愛しい家族の元へ帰るのが人間である。
これは、あなたは善性であり悪性なのか。
高台へ掲げられたような花は応えることはない。
まさに、死人に口なしということか。

2/9/2026, 10:51:00 AM