失恋して訪れた海辺の町
とにかく現実から逃げたかったから
なのに、きれいな景色を見ても
美味しいものを食べても
あの人がいないことを考えてしまう
結局、逃げても現実は頭から離れなかった
歩き疲れて立ち寄ったカフェ
窓から見える海も空も灰色だった
もうすぐ帰りの電車が来る頃なのに
気乗りしないまま店をあとにする
引かれるように海を振り返ると…
雲の切れ間から一筋の光芒が差してかけていた
灰色だった海の一部が金色に輝き始めたその時
遠くからかすかに鐘の音が聴こえてきた
その音が心にすーっと染み込んだと同時に
控えめに、何かを始めるよう私に合図をした気がした
立ち止まらず動いていれば、やかて繋がる縁がある
たどり着いた答えとともに電車が到着した
12/14/2025, 8:34:52 AM