光と影
「由奈くん。おはよう」
真っ黒な境界線に向かって言う。
「あ!こら!また1人で!」
そう言い母が私をその真っ黒い壁から話すように手を引く。
私たちの世界は影と光で分かれている。
私が幼い頃はそうじゃなかった。
でもある日突然、この世界は変わってしまった。
仲の良かった幼馴染の由奈くん、あっちにいっちゃった。
「やめて、由奈くんに挨拶してお話しする!」
「バカなこと言わないで。早く戻るよ」
「やだ!由奈くんと」
「もう世界が違うの。由奈くんのことは残念だったけどもう…忘れるしかないのよ」
大人みんなが私を悲しい目で見る。
近所のおばさんも、先生も。
みんな簡単に切り替えられる方がばかなのに!
「でもね、また会えるかもしれないよ?
もしかしたら由奈くんと話せるかもしれな」
「奈乃、由奈くんとはもう会えないの。
毎日毎日ここにきてもお話はできない。
絵本で読んだじゃない、お空にいったの。」
「え、違うよ。影の世界にいっちゃったの」
「…………。」
母は「辛いよね」と私を抱きしめた。
「あ、由奈くん」
「え?」
その時母の後ろでにっこりと微笑む由奈くんが「奈乃ちゃん、げんきげんき」といった。
私はまだ何にもわかんないけどなんだか悲しくなってげんきげんきって言われたのにできなかった。
私がいつか光と影がちゃんとわかるようになったらまた会いに行きたいなって思った。
終
11/1/2025, 6:46:29 AM