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金木犀
小さな花びらから甘い香りのする植物
その香りどこか懐かしさを感じる人もいるようだ。

今日金木犀のような女を見た。
甘い香りを纏った、どこか既視感を感じる人。
どこかであったか、咄嗟に今居たカフェを飛び出しそうになったのをギリギリ理性が止めた。
もし、何処かで会ったと思ったのが思い違いだったら?
私はただの不審者になってしまう。
それは避けたい、そう考えた矢先、
件の女が何かゴソゴソと探している様な素振りが見えた。
探し物が見当たらない事が分ると女の顔がみるみる内に青ざめていき、
金木犀の女は走ってこの私のいるカフェに近づいて来た。
『すみません!鍵見ませんでしたか?』
呼吸を荒げながら勢い良くマスターに訪ねる。
入ってきた途端、甘い柑橘類のような匂いが店を包み込む。
ほう、どうやら女は少し前までこのカフェにいたようだ、私とは入れ違いになったんだな。
そして捜し物はどうやら鍵のよう。
マスターは少々お待ちくださいとスタッフルームに下がって行った。
眺めていると女がこちらに気づいて、近寄って来た。
『何?君、外歩いてるときもずっと見てたよね?』
流石にバレバレだったか、言い訳の言葉を頭をフル回転させながら考える。
その様子が面白かったのか、女はケラケラ笑った。
『そんな怖がらなくてもいいよー気にしてないし』
サングラスを上げをした。
…思い出した。この女は今有名のドラマで主演を務める女優だ。
『多分、私のファンとかだよね?……違った?』
首を横に振りファンですとアピールした。
『そっかぁー嬉しいな……これも何かの縁だね』
そう言うと女優の女は、店の机に常設してあるナプキンを取り出し、サラサラと何かを書き始めた。
『何か合ったらここに連絡して?いつでも出るからさ』
そう言いまたウィンクをしたところで、マスターが顔を出し、お客様と声を上げた。
『私そろそろ行くね!じゃあこれからも応援してねー』
そう言い優雅にさろうとする女に私は声を出した
『ありがとうございます!』
女は親指を上げ去っていった。

2/19/2026, 3:04:33 PM