星になる
目を瞑ると、眩しかったあの頃のことを思い出す。とても綺麗で、愛おしくて、純粋だったあの頃は、もう戻らないからこそ尚更眩く輝く。現実を直視せずに浮かび上がってくる思考の断片は、あの時のことをいつでも鮮明に浮かび上がらせる。もう卒業して久しいのに授業中に寝ていて怒られる夢を見るだとか、一緒に帰った道の全く盛り上がらない面映い空気を頭に描くだとか、そういうの。もう何をしたって戻ってこない数々は自分の中で星となり、何がどうなるか分からない未来に足がすくんだ時の光となる。ただ、そんな星にずっと縋り付いてもいられない。鮮明に目に見えても掴むことはできないそれは、眩しすぎて長時間直視できないそれは、今を生きる自分にとっての足枷となることもあるのだから。星を望んで、囚われて、いつまでも執着ばかりしていれば、うっかり自分が星となってしまう。どうせいつしか星になるなら、まだもっともっとこれからの未来に星を増やしていけるかもしれない。そんな淡い期待を持って今日も目を閉じる。紛れもなく自分の星となったあの人の眩しい顔を想像しながら、そっと暗闇に意識を手放した。
12/15/2025, 2:35:42 AM