—最期の抗議—
懐かしい記憶を見た。
父と母と、動物園に行った時の思い出。
友人と家の近くのファミレスで、毎日駄弁った思い出。
大学生の時、初めて彼女ができた思い出。
断片的で色々な幸せの記憶が、頭の中に次々と雪崩れ込んでくる。
ビルの屋上から垂直落下している俺は「あぁ、これが走馬灯か」と思った。
社会人になってからの記憶が流れなかったことに、安堵した。
これは、会社に対して命を賭けた復讐だ。
誰もが寝静まった深夜。
俺の身体は、勤務先の会社の目の前で潰れた。
ただ、静かに幕を閉じた。
お題:静かな終わり
12/29/2025, 12:17:23 PM