0からの
アーチェリーに、憧れていた。
しんと静まり返った空間で、たった一人で立つ感覚は、これまで触れたことがないような澄んだ清水が、すうっと体内を通り過ぎていくようだった。吐いた息が白く濁って、前が見えないような錯覚。実際そこまで寒くはないし、白い息は吐いてない。それなのに。
弓懸が冷たい。少し、肌寒い。
足袋から伝わる温度が、体を強張らせる。これではいけないと思いながらも、緊張も相まっていうことを聞かない。
足踏み、胴作り、弓構え、打起こし、引き分け。会。
一つ一つ、動作を頭で唱えながら弓を引く。弦輪がギリギリと音を立てながら弓に力を伝えて、左手の親指の付け根に乗せた新品の矢に、より一層の緊張を与える。
胸を張る。胸を張る。背中は逸らさないで。
弓を持つ手をほんの心持ち上に上げる。そっと、的を見つめる。
離れ。
残心。
大丈夫。あと三回チャンスは残ってる。
2/21/2026, 1:48:17 PM