花筏

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「揺れるキャンドル」

……して女は静かに息を引き取ったのでした。おしまい。」
フッ、
99本目の蝋燭が吹き消された。
残すは1本のみ。みんなが持ち寄った怖い話で場は既に出来上がっている。中には恐怖で抜けようとする者もいたが、何とか好奇心を煽りその場に留めた。
「じゃあ最後、月美さん」
「ねぇ、ノリでここまで来ちゃったけどさ、やっぱりやめない?もしほんとに妖怪とか出てきちゃったらさ……。」
「まだ怖いって言ってんの?」
「でも、でもさっきから妙に寒気がするし変な音も聞こえるし、もう面白そうとか言ってらんないよ。」
「私もちょっと嫌な感じがする。このまま最後までやるのはあんまり良くないかも……。」
「うーん、月美さんはどう?」
「わたくしはこのまま続けたいですわ。たしかに皆さんのおっしゃる悪寒は私も感じております。……でも、せっかくここまで来たんですもの。ここでやめては面白くない。この蝋燭を吹き消した先にわたくしは興味があるんですもの。恐怖なんかで止まってはいられませんわ。
………それではお話しましょう。」



12/23/2025, 1:15:27 PM