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〈誰よりも〉

「寂しい」
ふと、そんな言葉が口から溢れた。
久しぶりの休み。
一日中部屋から出ることもなく、だらだらと過ごす今日この頃。
スマホを見るのにも疲れて、ベッドの上で天井の照明をじっと見つめながら、ただ零れ落ちただけの言葉。
きっと、特別な意味なんてないはずなのに。
どうしてこんなにも、胸の奥が痛むのだろう。
別に、嫌なことがあったわけでもない。
辛い出来事が続いているわけでもない。
本当に、ただ普通の日々を過ごしているだけなのに。
何が寂しいのか、自分でも分からない。
そんなことを考えていると、頬が濡れていることに気づいた。
あぁ……駄目だ。止まらない。
どうしよう、なんて慌てたその時、スマホが小さく揺れた。
もう、こんな時に何?
そう思いながら画面を見ると、そこには、
一人暮らしを始めてから会う頻度がすっかり減ってしまった母の名前。
電話に出ると、久しぶりに聞く母の声に、また涙が溢れた。
そんな私を察したのか、「大丈夫?」と心配されてしまう。
あぁ……安心する声だな。
そう思っているうちに、気づけば長い時間、話し込んでいた。
「そろそろ切るわね」
そう言われて、ふと、普段あまり電話をしてこない母が、このタイミングで連絡をくれたことが気になり、理由を聞いてみた。
すると母は、少し照れたように言った。
「なんとなく、久しぶりに声が聞きたくなったのと……一人暮らしで、そろそろ寂しくなってる頃かな、なんて思っただけよ」
あぁ……そうか。
きっと母は、どこの誰よりも、私のことを分かっているんだ。
電話を切ったあと、しみじみと思う。
きっと、いつになっても――
「この人には、敵わない」

2/17/2026, 10:01:32 AM