るに

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真夜中を楽しむ、
夜更かしを楽しむための列車。
行き先が気まぐれの通称迷子列車、
「夜の鳥」。
私は裏方社員なので
利用したことがなかった。
ただ
もう今年で仕事を辞めようと思った。
夜眠れない人や
退屈してる人を楽しませたいという思いで
夜の鳥の社員になったけど、
近頃は自分が夜を楽しめなくなって
不眠になった。
会社を回すのに
私はお荷物だと思ったので
退職しようと思った。
1回くらいは乗ってみようと
足を運んだのだが、
運転手はいつも無線で聞いている
ポンデリングの髪型の
ポンデちゃんだった。
私を見るやいなや、
辞めないでくれと懇願された。
他に数人乗車待ちをしていたので
また後でとなだめて
夜の鳥に乗った。
モノレールみたいに
高い位置に線路が敷かれ
そこを走っている夜の鳥では
大きな窓から綺麗な夜景が見えた。
ポンデちゃんは
一室一室にアナウンスをするような
暇な人なので
きっと夜景は腐るほど見てきただろう。
でもネオンの光や
オレンジの暖かい光が
私の視界を包んできて
本当に綺麗。
ドアを開け
外の通路を歩いていると、
上に満天の星空があることに気づいた。
下からじゃ街灯とかの光で
見ることの出来ない光景だった。
"Good Midnight!"
上を見ていてよかった。
涙は溢れるけど零れない。
あー、この仕事、
楽しかったなぁ。
やりがいも楽しさも
ずっと感じていくものだと思っていた。
私の仕事はずっとこれなんだと
何となく思っていた。
辞めたくないけど
辞めた方が会社と自分のため。
でも星を見てわかった。
やりたくてもできない事は我慢し、
やりたくない事もやり、
変わることが変わらない世界を
生きていって人は散り、
やがて星になるんだと。

12/14/2025, 3:34:39 PM