僕は人から色々なものを奪って生きてきた。
お金や誰かの大切なもの、時には命だって。
いや、それだけではない。誰かの身体も奪って自分のものにして生きてきた。
何度も何度も身体を奪って生きてきたせいか、自分の生きる目的や自分はどこの誰だったのかもあやふやになっていった。
奪うことが目的ではなかったはずだ。なのになぜ息をするように奪っているんだろう?
そんなことを考えていると僕の前に天使が落ちてきた。
その天使は大ケガをしていた。いつもの僕だったら身ぐるみ剥いで売り捌いたり回復を待って見世物にしようと考えるところだけど、この時ばかりは心から助けたいと願った。
だけど天使は日に日に衰弱していって、助かる見込みもなくなっていった。
だから僕は天使の身体を奪った。
そうすれば天使は僕の身体で生きることができる。
僕はどうなってもいい。ただ、天使に生きていてほしかった。
これまでその身体で犯した罪をなすりつけてしまうようで申し訳ないけど、これしか方法はなかった。
こんな極悪人に願われてもしょうがないとは思うけど、どうか願わせてほしい。
君のこれからの人生と心の旅路に幸多からんことを。
12/28/2025, 2:48:07 PM