こはくとう

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ある村に少年と少女がいました。
2人はとても仲が良く、いつも一緒でした。そんな2人を村の人たちは温かく見守っていました。

しかし、2人は夕方になると必ず家に帰ります。少女はもう少し長く少年と一緒に過ごしたいのですが、少年の答えはいつだって「ごめんね。」でした。

ある日、いつもは日が暮れ始めると家に帰るのですが、少女はなぜ少年が夜は一緒に過ごさせてくれないのか疑問に思い、家に帰るふりをして、少年の後ろにこっそり着いて行きました。

少女はてっきり少年は家に帰ると思っていましたが、少年が歩きだしたのは家とは反対方向でした。そのまま少年は森へ入っていき、森の奥深くに歩いていきました。森の中で唯一木々がほとんど無く、少し開けたところに少年は座り込みました。少年は月を見ていました。予想と全然違う結果になった少女は隠れていた木から出て、少年に近づきました。
「月を見ていたのね。私も一緒に見たいわ。」
少女は後ろをこっそり着いてきてしまった罪悪感から少年の顔を見れないまま少年の横に座り、月を見ながらそう言いました。
「…なんで居るんだ…。帰るよう言ったのに…。」
少年の反応は思っていたものと全然違うものでした。少女は慌てて、
「黙って着いてきてしまってごめんなさい。でもあなたと月、見たかっ…」
そこまで言って、少女の顔が固まりました。
少年の顔がみるみる内に狼へと変わっていく…。
「…ちゃんと言わなくてごめん…。」
月の下、狼が吠える……。

9/14/2025, 3:18:05 PM