KararaK

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 私たちは恋人じゃない。
 同じクラスで、席が前後で、放課後になるとくだらない話を送り合う。ただそれだけだ。テスト前には通話をして、文化祭では一緒に段ボールを運んだ。名前のない関係。でも、それでよかった。だって居心地が良い。向こうだってそうに違いないハズ。

 LINEの最後には、いつも軽く「luv u笑」とつく。これは冗談の合図。深くならないための約束みたいなもの。
 でも、私から最初に送ったときは緊張したな。この合図は、一生懸命考えたんだ。
 だって壊れたら困る。毎日同じ教室にいるのだから。それに、もう話も出来なくなる可能性があるなんて、考えたくもなかった。

 その夜、彼から珍しく弱いメッセージが届いた。
 「今日ちょっときついわ」
 私は何度も打っては消す。
 「大丈夫?」も「がんばれ」もしっくりこない。

 指が止まる。
 心臓が、時が来たのを教えてくれる。
 いつもの「luv u」を消す。
 代わりに、ゆっくり打つ。

 「Love you」

 送信した瞬間、既読がつく。
 心臓の音だけがうるさい。自分が熱いのか冷えていってるのか分かんない。
 しばらくして届いた返信は、短い一行だった。
 「俺も」

 翌朝、教室で目が合う。ほんの数秒間、緊張。でもそれがなんだかおかしくて二人で笑った。親密な空気が、ちょっと照れくさいけどめちゃくちゃ嬉しい。
 私たちは壊れなかった。むしろ、昨日より少しだけ近い。



『Love you』

2/24/2026, 3:35:21 AM