勝ち負けなんて
最後の体育祭。
俺はお前に、ずっと勝ちたかった───────。
「今日は勝つ!」
「いーや、今日“も”オレが勝つ」
やたらと“も”を強調して言うお前。
1000戦、500勝、500敗。
最後の体育祭。
これで、勝負することはなくなる。
お前が、居なくなっちまうから。
「位置について、よーい」
いつもと同じピストルの音。隣に走るお前。
周りのヤツなんて知るもんか。二人きりの世界みたいだった。
でも、後ろから足をひっかけた奴がいたんだ、お前に。
転んだ。転んだ??立ち上がれよ。何故立たない。最後の、最後の勝負なんだぞ。
「最後はお前に譲る」
……は?
何言ってんだよ、お前。勝ちたいんじゃねーのかよ。
本当は勝ちたい癖に。
「は…?」
気づいたら手を差し伸べてた。
「そんな譲られても嬉しくねーよ。これで引き分け。そんでまた会った時に勝負再開、な?」
肩を組んで、歩き出す。
少しずつ、少しずつ。
お前と居れればそれでいい。勝ち負けなんて、勝ち負けなんて関係ないよ。
5/31/2025, 4:39:05 PM