ストック1

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一緒に競い合うライバル
対等な関係
戦い合いながらも、お互いを高め合う存在
それが私たちだった
そのはずだった
けど、心の片隅で侮っていたのだ
この子では私を追い越せないと
失礼なのは重々承知
でも、あの子が私より先へ行く姿は、どうしても想像できなかった
実際、私が負けたことなんて一度もない
なのに
まさか
私が圧されるなんて
私の魔法は水属性
炎属性のあの子は、私が相手ではそもそも不利なのだ
そのことを差し引いても、私のほうが魔力は高い
それがどうだ
劣勢なのは私の方
どれだけ力で押そうとしても
どれほど技術で翻弄しようとしても
あの子はその上をゆく
対等なライバルに対して、抱いてはいけない感情が吹き上がる
"屈辱"
その時、嫌というほど思い知った
自分の嫌なところを
結局、私はあの子を見下していたのだと
対抗すればするほど、どれだけ私が舐めきっていたか、理解させられる
なぜなら、私の攻撃は防がれ、私の防御は突破され、その度に屈辱感が心をつついてくるのだから
この期に及んで、吹けば飛ぶような格下相手に手も足も出ない、という感覚に支配されている私の醜さ
自分の中にある汚い部分
それを見せつけられているような気分になる
結局私は、あの子に惨敗を喫した
涙が止まらない
試合に負けた悔しさの涙じゃない
あの子の前で膝をついた、屈辱の涙だ
私はなんて矮小なのか
あの子は対等なライバルのはずなのに

「知ってたよ、あなたが私を下に見ていたこと」

私にあの子が告げる
そっか、気づいてたんだ
きっと自分でも気づかないうちに、普段の態度で出ていたのだろう

「だから私はたくさん努力した
あなたを越えられるように」

それが今日、実ったのか

「そうすれば、私は本当の意味で、あなたの対等なライバルになれる気がしたから」

ああ、この子はあくまで私と対等なライバルになりたかったんだ
私に見下されるのでもなく、私を置いていくでもなく

「今日からは、対等なライバルとして、切磋琢磨していこう」

そう言って、手を差し伸べてきた
私はその手を掴む
格下だったのは、私の方だった
力ではなく、心が
ようやく、私はあの子の対等なライバルになる資格を得た
そんな気がした

12/18/2025, 12:04:33 PM