『ゲームリセット』
ふっと目を開ける。目の前には見慣れた景色が広がっていた。歩いているおじさんに、笑顔で話している女性2人組。……うん、いつも通りだ。何も間違いがない。
そんなことを考えていると後ろから名前を呼ばれた。振り返ると、眩しいほどの笑顔を携えた彼がいた。片手をひらひらと上げて、こちらに歩み寄ってくる。
「久しぶりだな!」
「うん、そうだね。久しぶり。仕事はどう?やっぱり大変?」
「あぁ、やることが多すぎだよ……」
ぶつぶつと文句を言う彼。だが、「それでも、やりがいがある仕事だよ」と前向きな方向に持っていけるのが彼の凄いところだ。
「そっか」
「ところでお前はどうしたんだ?こんなところで。まーた、服屋巡りか?お金が飛ぶからやめろって何度も……」
「ううん、違うよ」
彼の言葉を遮って否定する。私にしては珍しい行動に彼が驚いたような顔をする。
「今日でこの世界ともさよならだから最後に見納めでもしようかなって思って。……ま、でもどうせまた景色は同じなんだしもういいかなー」
「…は?な、なに言ってんだよ……」
彼の顔が困惑の色、一色に染まる。彼が本気で困っているところを見るのは初めてで、場違いだけれどもすこし感動してしまうほどだった。
「この世界ともさよならって……あ!この街から出て行かなきゃいけないってことか?なんだよ、大袈裟な言い方…」
「ううん、本当にこの世界とさよならなんだよ。もうこの世界消えちゃうの」
「は?」
彼の顔が困惑から別の感情に変わっていく。それが怒りなのか、不安なのか、悲しみなのかはわからない。
「どういうことだよ、もっとちゃんと説明を…!」
「ごめんね、もう決まったことだから。……また、0から仲良くしようね」
彼が「おい!」とこちらに手を伸ばして来るの見ながら瞼を閉じる。彼の手が触れる前に私の目の前は真っ暗になった。
・ゲームをリセットしますか?
→はい
いいえ
【0からの】
2/21/2026, 5:27:38 PM