彼との生活を上手く運用するために、私は頭の中にいつもロジックツリーの枝を生やし、いくつもの言葉を書き込んでは、実行していた。
日々、食生活を基本とし「一汁三菜」に配慮し、生活環境を整える。私の役割は、常に彼を主軸としたサポートを強化すること。
思考と作業、話す時は曖昧さを回避する。彼が仕事から帰ると、すかさず労いの言葉をかける。私がその日に何をしていたかは、彼には関係ない。報告は省略。
彼が仕事に出かけると、うさぎと猫の世話をする。話し合うことはできないが、何となく何をしてほしいか、私に何を求めているかは通じあえていた。そう思うが、正確性は乏しい。それでも物言わぬ生物の方が、私の摩耗に敏感だった。
十数年かけて作り上げたロジックツリーの枝を切っては生やし、切っては生やし、繰り返し続けた。一向に改善するどころか悪化していくばかり。ロジックの破綻。根本的に根元が腐っていた。
私は彼と何を話していたんだろう。
私と彼は何を見ていたんだろう。
記憶の枯葉を一枚ずつ、掌に乗せて確かめる。腐葉土にもならない。
二年かけて一掃し、最後の一枚を焼却。
#149「枯葉」
2/19/2026, 2:54:41 PM