『降り積もる想い』
世界は終焉と化(か)した。
これは、偽りだ。化過(ばか)げている。
日本にはあやかし文化がある。
ろくろ首、かっぱ、雪女、座敷わらし……九尾の狐や化けだぬきなどだ。
現代を生きる私たちには知り得ないことなのだが、どうやらあやかし世界にて、一波乱あったらしい。
九尾の狐と化けだぬきの大戦が行われたのだ。
……結果は、化けだぬきの圧勝。
あやかし世界の、誰もが予想し得なかった結果だという。
化けるしか能のない化けだぬき達。
しかし、彼らの“降り積もる想い”が、大秘宝と反応し……悲劇が起きた。
化けの術に飲み込まれた化けだぬき達は、今や世界に混沌をもたらすだけの存在となってしまった。
我々人間達は、生き残ったあやかし達と手を組んで、世界を終焉から免れようと足掻く日々だ。
これは、人間とあやかしがわちゃわちゃしながら日常を過ごし、命をかけて大事なものを守ろうとする話である。
――降り積もるは悲劇を呼んだ。
しかし、奇跡を呼ぶのも……降り積もる想いなのだ。
続かない。
終わり。
12/21/2025, 3:24:29 PM