こひる

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『10年後の私から届いた手紙』

食事を終え、彼女のアパートまで送り、また明日ねと手を振り合い別れる。彼女とのこれまでには紆余曲折があった。しかし、やっとこちらを振り向いてくれたと手応えを感じている。

帰宅後、今は何も考えれない、と空を見て過ごしていたところ、前触れも歪みもなく、リビングの中空から、バッと現れた真っ白な手紙が、ソファーに座っていた自分の掌に、ぽとんっと収まる。

それから1時間。
どうやら、10年後の自分から手紙が届いたらしいことを受け入れる。システムも理屈も分からないが、配達を請け負っているのは「時空間郵便マダミライ」という事業所らしい。

徐に、手紙を開くと、短く「お前は、アシスト役は完璧にこなすけど、主役になると、とちるぞ。10年後の俺より」と書いてある。

「とちるぞ」という表現に若干引っかかるが、普段の自分自身を考えると、まあ分かる気がする。筆跡的にも自分からの手紙で間違いないらしい。

んー、なんのことだろう。昇進すると痛い目に遭うということ?密かに夢見ている小説家は諦め、読者に徹しろという警告?いや、手紙との適合性がない。

結局、この手紙に対する見解がまとまらないまま、疲れた頭を覚ますためにシャワーを浴びたくなり、ソファーから立ち上がる。

もう寝よう。明日は、大事な用事がある。

長らく付き合っていた彼氏と関係のほころびに疲れていた彼女の相談に乗る最中、猛アピールし、別れさせ、自分に振り向かせた。別れた元カレは俺の幼馴染でもあるナオヤで、俺は一時、ナオヤの相談にも乗っていた。

明日、俺は彼女にプロポーズすると決めている。
俺は、彼女の人生の主役になるつもりだった。

ふと考える。

あっ、これのこと!?

2/15/2026, 1:19:05 PM