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 何だか心が晴れないということが続く。そんな時は、外を歩いてみる。
 
 色々な人が歩いている。木々はすっかり葉が落ちて、冬仕様になっている。線路にいつものように電車が走っていく。見慣れた光景が淡々と繰り広げられる。ごちゃごちゃしていた頭の中が少しずつ薄らいでくる。

 いつもは通りすぎる公園も、今日は中に入ってみる。懐かしいような土の感触。まだ残る落ち葉を踏み締める。奥に行くと、一本の木に目が止まった。白い光がぽつぽつと枝先にともっているように見える。近づくと花だった。

 よく見ると桜に似ている。この時期に咲く品種なのだろうか。ほんのりピンク味を帯びた花びらは透けるように繊細だ。それが冷たい風に吹かれて、ちらちらと揺れながらもふんばっている。

 たくましいなあ。木の下に入って、花を見上げる。空は、青く澄んでどこまでも高い。花はかすかにその青を映していた。
 
 もう少しがんばってみるかな。深呼吸すると、キンと冷えた清々しい空気が入ってきた。大きく足を踏み出して、また歩き出した。

「明日への光」

12/16/2025, 6:34:01 AM