【Kiss】
リアルな体験談はきっとみなさん好きでしょう。だから、詳細に綴ってみようかと思い立ちました。英字表記になぞらえたおしゃれな書き方が出来ればよかったのですが、生憎そこまでの技術はありません。大人しく、写実路線で攻めようかと思っています。人はこれを逃げと呼ぶのかもしれませんね。
私のファーストキスの相手は今の恋人です。幼きころ恋愛のいろはも分からぬまま、恋に恋して付き合った相手とは違って、自ら触れたいと強く思う相手でした。
中々会えない事情も相まって、私は写真に口付けすることで恋しさを紛らわせておりました。柔らかく暖かな体に焦がれて、凹凸のない無機質で冷ややかな画面に唇を重ねる。きゅうんと胸の奥が締め付けられる感覚は、どこか心地の良いもので。写真だというのに、私はもうその感覚の虜になっていました。
ようやく会えたその日。前日までは会ったその瞬間にキスしてしまうかも、なんて話していたのに、私たちは緊張もあって手を繋ぐことすら躊躇していました。もどかしいですね。
人目を避けて駆け込んだカラオケルームで、私は距離を詰めて、画面へ向かうより深く、顔を近づけました。するとなんということでしょうか、恋人は顔を逸らしてしまったのです。勇気を出した行動が実を成さず、照れの感情に支配された私は、はにかみながらも少しむっとして、「逃げたあ」なんて言った気がします。
今度は逃がさないように。しっかりと捕捉してから、ようやく、私は初めてのキスをしました。勢いよく行き過ぎて歯がかちりと当たりましたが、それは紛うことなき口付けでした。焦がれていた感覚がそこにはあって、なによりの幸福感と、あたたかな感情と、切ないような苦しいような、……ああ、そうですね。私はこれを簡単に形容する言葉を知っています。「好き」だと。感じました。
それからはもう、イチャイチャちゅっちゅです。またねをする頃には、とてもキスが上手になっていたというオチ。
どんな顔をしていたとか、どんな発言がかわいかったとか、言いたいことはいろいろあるのですが、これは私の宝物ですから、大事に胸の内にしまっておこうと思います。
2/4/2026, 11:50:00 AM