かたいなか

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ガチャに課金して祈りを捧げて、
回してすり抜けてそもそも最高レアが無くて、
更には人権対象を複数回、完凸まで。
なにやらタマシイジェムが濁ってにごってナゲキシードになりそうな状況を、
何度も、なんども、繰り返す物書きです。

祈りなんて届かぬのです(八つ当たり)
そんなもの、犬にでも食わせりゃ良いのです( )
なんて夢のないハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某私立図書館の中のイチバン大きな閲覧室では、
大きなおおきな、クリスマスツリーの片付け作業が、来館者が帰った夜の間に為されていました。

「ねぇ先輩!なんで図書館って!
こんな業者にやってもらった方が安全で早い作業を自分たちでやらなきゃいけないの!」
「そういうモノだからだ」

「だから!なんで!なんでッ!
図書館ってそういうモノなのって!」
「枝渡すぞ。ちゃんと受け取ってくれ」
「んんんんんああああああもう」

組み立て式のモミの木のオブジェには、
キラキラ光るLEDのテープライト、まんまる小さい玉のオブジェ、本物の靴下等々と一緒に、
今回のお題回収として、
『彼女ほしい』
『借金帳消し』
『健康ください』
『推し当たれ』
『活力百倍鍛錬第一』
様々な欲望、もとい祈りが、
星の形をした紙に書かれて、吊るされています。

「来館者に書いてもらったこの紙、」
「近くの例の稲荷神社でお焚き上げだ」
「普通に捨てるんじゃないんだ」
「らしいな」

達筆、文豪、ド直球にイラスト、等々。
図書館に来た複数の誰かの祈りを捧げて、25日まで展示されておったモミの木のオブジェです。
世界平和に打倒管理局、続編安泰云々。
誰のものとも知れない祈りを捧げて、25日には撤去される運命のモミの木のオブジェです。

祈り、いのり、イノリ。
捧げられた星の記入用紙は全部で百枚と少し。
ひとつの箱に入れられて、年末年始の願掛け用紙と一緒に、後日稲荷神社に奉納。
然るべき手順を踏んで、お焚き上げの予定です。

「先輩なにか書いた?」
「お前はどうなんだ」
「いっぱい書いた」
「はぁ」

「アレと、ソレと、ヤンヤンとニャンニャン、
来年は是非ぜひツー様とルー部長の」
「最後の枝だ。受け取ってくれ」
「はいはい」

クリスマスパーティーの準備できたよん。
遠くから別の職員が、閲覧室に向かって、大きなおおきな声をかけます。
クリスマス展示の撤去作業終了後、その私立図書館に勤務しておる職員で、
もちろん、希望者オンリーですが、クリスマスパーティーをする段取りであったのです
が、
何やらコンコンこやこや、稲荷子狐の声がするのは何故でしょうかハイ気にしない。

「よし」
来館者の祈りを捧げて飾られたモミの木のオブジェの、片付け作業もそろそろ終了。
「あとは、幹を片付ければ」
数日と経たないうちに、年末年始が始まります。
私立図書館は私立なので、年末年始も開館中。
神社っぽい展示とオブジェと、それから新しい「祈りを捧げる対象」とで、来館者を迎えるのです。

「ツルカプ万歳」
「なんだって?」
「なんでもないでーす」

クリスマスの欲望もとい、祈りを飾り続けた、図書館内のオブジェのおはなしでした。
おしまい、おしまい。

12/26/2025, 4:05:12 AM