今日は今年一番寒い登校の朝。
こんな日に限って手袋をするのを忘れてきてしまった。
手が冷えて、凍ってしまったかのような感覚だ。
「うぃーっす。って、手を擦ってなにしてるんだ?」
同じクラスの鈴木君が、ポケットに両手を入れながら話しかけてきた。
「手袋忘れちゃって……擦って温めてるの」
「ふーん、じゃあこれ使いなよ」
鈴木君はポケットから手袋を出して、私に差し出した。
「え?でもこれ、鈴木君のじゃ……」
「手袋着けてるとなんか手がかゆくなるんだよなー。だからポケットに手を入れて温めてるんだよ」
だからポケットに両手を入れていたんだ。
「せっかくだから借りようかなぁ」
「おう、あとで返してくれたらいいから」
鈴木君から手袋を受け取り、早速両手に着ける。
手袋は大きくて、すごく温かい。
「今日は一限目から歴史の授業かー。だりぃなぁ」
「鈴木君いつも寝てるじゃん」
世間話をしながら、鈴木君と一緒に学校へ向かった。
12/9/2025, 10:07:18 PM