私はずっと
長い道が嫌だった。
何の変哲もない、
変わらない道。
いつも同じルートで
いつも同じ景色で
特別楽しめる四季も無くて。
この道を通ると、
あぁ、帰ってきちゃったなぁって
今の今まで味わっていた
外の雰囲気が全部消えて、
実家のような既視感だけが残る。
毎日違うことがあったのに
ここまで来れば
いつも同じ日。
でも今日は違った。
和傘がいくつも並んでいて、
ぼんやりとした灯りが道を照らしていた。
私は心が踊った。
薄暗い道は
私をどこかへ導いてくれるかのようだった。
楽しい。
私は思わずスキップをする。
家に帰るのが
今日は楽しかった。
光の回廊は
いつもの道を
ここじゃないどこかに
変えてくれたのだ。
"Good Midnight!"
ゆずを湯船に浮かべる。
シャワーで流しても
ほんのり香るゆずの匂いは
私を包んでくれる。
1番夜明けが遅くて、
1番夜更けが早い、
今日は冬至。
12/22/2025, 3:24:00 PM