佐吉智明

Open App

28. 明日への光

一日を終える。
その達成感。疲労感。
その間に揺れる、夕陽の蔭。

――まるで夢を見ているようだ。

誰かが私の耳元で囁いた。
私は笑った。
夕陽の蔭に隠れて笑った。
馬鹿馬鹿しい、とおもった。

これが夢ならどれほど良かろうか。

陽は沈んだ。
静かに沈んだ。
海の底まで沈んだ。

ああ、息ができない。

…………。

にわかに東の空が赤く染まる。
陽は昇った。
静かに、昇った。
おおげさに、朝を告げた。

夢。否、現。
昨日の陽。今日の陽。
赤い赤い。
燃えている。

12/15/2025, 1:21:36 PM