あの誰もが知っている有名な『雪国』の冒頭は、越後の湯沢温泉に抜ける清水トンネルとのことです。
川端康成といえば文豪で、日本で最初にノーベル文学賞を受賞してる。この書き出しもそうですが、文章が絶品に綺麗で、川端、太宰、三島、谷崎あたりの文章は、読んでて本当に匂い立つような、というか何かを纏って動いているような気がしません?
なんというか、旬の食材ばかりを選んで、丁寧に下処理をして、受け継がれてきた薄口の配分で朝から炊きました、みたいなものが出てきて、ここで味変にラー油かな、とか言ってる料理とは違うんですよね。
でも、書いてある内容は実は結構アレで、この雪国も3文めあたりから、おっさん何書いとんじゃいと言いたくなる。
綺麗な文章を駆使してかなり婉曲に書いてるけど、書いてあるのは実はアレか...みたいな。
川端康成といえば、『伊豆の踊り子』(1926:伊豆の湯ヶ島あたり)、『雪国』(1948)、『千羽鶴』(1952:鎌倉)、『古都』(1962:京都)あたりですけど、特に温泉ものは本当にアレで、特にこの雪国の冒頭なんて、東南アジアに頻回に行くオヤジが機内で考えてることとたぶんあんまり変わらないですよ。
そいえば伊豆の踊り子は1963年にも西河克己監督で実写化されてるんですが、その撮影現場に川端センセーが登場して、御自分でも主演の吉永小百合を追い回していたらしい、とも聞いたような...
原作者なんて、番組の終わりに自分もその店の料理を、たぶんお店のサービスで食べて、怯えた眼でビールもせびる程度でいいんですよ。
でも、綺麗な文章には、主題や作者の頭の中なんか飛び越えるチカラがあるんでしょうねぇ。
「雪あかり」といえばこの文章が出てきて、あの光景が広がる。
12/26/2025, 11:25:47 PM