廃墟にあった、お菓子の缶をあけると、思いのほかキレイなビーズが入っていた。
1番大きな青いビーズを手にとり、日の光にあてると、不思議なことに、まだキラキラと輝いた。
オバケが出るよ、
入ると呪われるよ、
と近所の子どもたちには嫌われているらしいこの廃墟は、実はボクが幼い頃住んでいた家だ。
母が病気で亡くなって、父はどこかにいってしまって、ボクと小さな妹は母方の親戚の家に引き取られた。本当に優しい人たちで、ボクら兄妹は何不自由なく、充分に育ててもらった。
しかし、不幸は続くもので、なぜかその親戚たちもたてつづけに亡くなってしまった。身体が弱い家系なのだろうか。そのへんはよく分からない。
ボクと妹は、二人で暮らすようになって、ひさびさにお互い仕事も休みだから、昔住んでいた場所に行ってみようか、という話になった。電車をいくつか乗り継いで、ボクたちは20年振りにこの場所にきた。
懐かしい、というより、知らない場所に訪れた、という感覚だった。
家の中はボロボロだったけど、押し入れの隅の箱に入っていたお菓子の缶は、案外キレイだった。それは、妹のお気に入りで、大切なものをいれて、いつも大事に抱えていた。この家のことはほとんど覚えていない妹も、この缶だけは印象にのこっていたみたいだ。
さまざまなビーズの下に、1枚の写真があるのを見つけた妹は、「あ。」と声をあげた。
写真には、父、母、ボクと妹、の4人が写っていた。夕飯だろうか?カレーライスを食べながら、みんなキラキラと笑っていた。
そうだった、妹は、この写真が特にお気に入りだった。だから、写真たてに飾ってあったのをこっそり抜いて、この缶にしまっていたんだった。父も母もボクもみんなそれを知っていたけど、見て見ぬ振りしていたっけ。
ああ、そうだった。
懐かしいなあ。
ボクと妹は、そのお気に入りの缶を持って帰りの電車に乗った。
隣に座る妹は、いつになくご機嫌だった。
2/18/2026, 7:36:40 AM