【誰よりも】
他の人より優れていたいと思っている。誰かからの期待によるものではない、ただの自分のプライドだ。だけど、努力はしたくない。誰よりも楽をして優れた人間になりたい。いわゆる “天才” と呼ばれる部類の人間に入ってみたい。
そんな思いを抱えたまま迎えた、20歳の誕生日。小学校からの友達や、遠縁になってしまったがたまに連絡の取り合う友達、親戚、家族、バイト先の人……幅広い知人が祝いの言葉をくれた。
親戚、特に女性陣からが酷かった。祝いの言葉だけでいいのに、一緒に小言までついてくるのだ。
「いつまでダラダラとバイト生活するの?」
「手に職をつけたら?」
「やりたいことないわけ?」
全ての問いに濁した言葉を返し、逃げるように遊びに出かけた。高校卒業と共に就職した友人たちに会い、近況報告をした。
仕事が順調、恋人ができた、などの自慢話を聞かされてウンザリしたが、笑って誤魔化した。
そろそろ自分にも運が回ってくるはずだ。原石として鈍い光を放つ自分を見つけ出し、光り輝くまで磨いてくれる人がきっといる。
「ねーねー、ウチらとお茶しね?」
隣りにいる友達に声をかけており、俺は目を合わせない。あぁ、なんで自分じゃないだろう。あぁ、情けない。
2/16/2026, 2:20:39 PM