27(ツナ)

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星になる

友達と真冬の天体観測に行った。
仕事で嫌なことがあって気分が沈んでいた時、ちょうど「星、見に行こうよ」と連絡があった。

駐車場から少し歩いた高台に登って空を見上げると、2人とも言葉を失うほどの満天の星空が輝いていた。
「……。あぁ…なんか星になりたいな。あんな────。」
話し終える前に、突然友達に後ろからぎゅっと力強く抱きしめられた。
「!?」
「だめ!私を置いて行かないで。」
友達は半泣きでそう言う。
腕の力から本気なのが伝わったけれど、私は意味がわからなかった。

「え、えっと、どした!?置いてかないよ。てか、あんたの車で来たんだから。」
「違う!今、星になりたいなんて言うから…。」
「え?」
「星になるって、天国に行くって事でしょ?死んじゃ嫌だぁ…。」
あ、そういう事か。
普段から天然だけど、今日はその天然に救われた。
変な勘違いでおかしな事になったけど、抱きしめられてなんだかモヤモヤしていた気分が晴れた。

12/14/2025, 11:00:08 AM