純血のエルフが書いた魔法書には需要がある。「雑種のエルフより魔力の質が高い」という迷信をいまだに信じている顧客が多いからだ。
自分が魔法書の執筆業を始めて何百年経っただろうか。正確には覚えていない。「こういう特殊な技術と根気が要る仕事は長命種がするもの」という風潮もあるようだ。
だから、「弟子にしてください!家事でも買い出しでも何でもやります」なんて言いながら家を訪ねてきた少女には驚かされた。
「何十年前の話ですか、もう」
「長命種からすると昨日のようなものなんだ」
「もっと長生きしてやりますよ」
「はは、楽しみにしてるよ」
「絶対師匠を超えてみせますから」
「無理だね、絶対に」
「来世も弟子入りしますから」
「迷惑」
この年になってまだ変化が楽しいだなんて、浮かれすぎているのだろうか。
すべてが枯れてゆくのを眺める事しか出来ない自分に、いい加減飽き飽きしていたというのに。
お題 ― 「枯葉」
2/19/2026, 5:37:22 PM