初雪が観測された日の、冷たい朝。
あなたは大きな声で泣いていましたね。
でも、あなたの小さな手には私への贈り物が乗せてありました。
幼いあなたが初めて作った小さな雪だるま。
見た目は雪だるまというより、握った雪の塊に枝を何本も刺したようなものだったけど、とても愛らしいものでした。
その雪だるまが溶けてしまった日もあなたは泣いていて本当によく泣く子でしたね。
なのに、いつの間にか私の背を越して部活動や友達、勉強に励む日が多くなり、私の自慢の子供でした。
私が病で倒れた時、あなたは言いました。
「来年の引退試合必ず見に来てよ。だから、早く治してね」、と。
私は今日、あなたの引退試合を見に行けました。遠くからだったけれど、本当に立派になりましたね。
嬉し泣きしてしまった私を、あなたも嬉し涙を浮かべながら抱きしめてくれた。その温かさはきっと忘れることはないでしょう。
本音をいえば、卒業式も見に行きたかった。
でも、今のままだと叶うかは分からない。
──
引退試合を見届けた後、母は強力な痛み止めで痛みを和らげる日々を送ることが増えた。痛み止めを使っても母はベッドから起き上がれない状態だった。
そして、桜舞い散る春半ば。
母は私の卒業式を見てから天国に旅立った。
お母さん、今までありがとう。
お母さん、私を産んでくれて本当にありがとう。
お母さんと過ごせた日々は幸せでした。
ずっと、大好きだよ。
またね
__手のひらの贈り物
綴 白__
12/19/2025, 11:37:14 AM