かたいなか

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前回投稿分に続くおはなし。
最近最近の都内某所、某本物の稲荷狐の家族が住まう稲荷神社の宿坊に、
ひとりのニンゲンの男性が、ピッカピカの新しいバイクを押して、やってきました。

「おはようございます。よろしくお願いします」

約7万キロ連れ添った愛車を諸事情で、去年の夏、看取ったニンゲンです。
しゃーないのです。高いところからバイクで跳んで、緩衝材も無い地面にドン!着地したのです。
詳細は過去作8月7日頃投稿分参照ですが、
スワイプが面倒なので、気にしてはなりません。

「はい。愛車安全祈願で予約の、ツバメさん。
祈祷料は既に納めて頂いていますね」
コンコン。さあ、どうぞこちらへ。
美しい黒髪の巫女さんが、ツバメと呼ばれたニンゲン男性を案内します。
道の先ではご年配のおじいちゃん神主さんが、
穏やかな笑顔でお祓い棒、大幣を持って、ツバメのことを待っておりました。

神主さんの近くでは、稲荷子狐がキャッキャ、きゃっきゃ。子狸や子猫たちと遊んでいます。
掃除で積まれた枯葉が楽しいのです。

「お義父さん。よろしくお願いします」
「うむ。では、始めるぞい」

しゃーんしゃーん、しゃーんしゃーん。
神主さんは慣れた所作で、大幣を左右に振ります。
しゃーんしゃーん、しゃーんしゃーん。
大幣の白いピロピロが、それに合わせて動きます。

子狐と子猫はピロピロに興味津々!
ところでツバメが持ってきたバイクは、座るところが非常に温かそうです。
なにより揉み心地が良さそうですし、爪研ぎにもピッタリに見えます……

「こりゃあ!イタズラしてはイカン!」
バリバリバリ、ばりばりばり!
子狐と2匹の子猫と、それから子イタチが、
せっかくの新車バイクに爪をたて、引っ掻き、さあタイヘン!もう傷だらけです!

祈祷をお願いしていたツバメは、
ここで丁度良くお題回収、
「同情」待ったナシの卒倒的ショックの表情。
そりゃそうです。せっかくの、新車なのです。

ツバメの同情さそう絶望をよそに、
稲荷子狐はバイクに爪をたてて登頂を目指し、
化け子猫と子猫又は座面で爪研ぎ。
子カマイタチがそれらに混ざろうとしてるのを、
化け子狸が必死になって、尻尾掴んで制します。

なんということだ。なんということでしょう。
この理不尽に、ツバメは耐えねばなりません!
なんと悲劇的なことでしょう(しゃーない)
ただ数少ない救いは、
子狐に子猫たち、この子供ーズが人外といえど、人語の分かる子供ーズであったことと、
ツバメにはとてもとてもウデの良い、あらゆる傷を修復できる、整備士のアテが在ったことです。

ということでまず、バイクを傷つける子供ーズを、バイクから剥がしましょう。
丁度良いことに、その日は3連休の前日。
ツバメも仕事の休みをとっておりました。

「枯葉で一緒に、キャンドルを作らないか」
ツバメが子狐たちに言いました。
「そこの枯葉をたくさん詰めて、ロウソクを溶かして流し込むんだ。
完成したらそれを使って、焚き火をしよう。自作の着火剤で、料理を作るんだ」

ほら。これを自分で作れるんだよ。
ポケットからツバメが美しい青色グラデのキラキラキャンドルを取り出して見せますと、
キャンドルの美しさと珍しさに、子狐たちは目が釘付け!たちどころにイタズラをやめました。
「さあ。枯葉を集めるのを、手伝ってくれ」

そこから先は、昨日投稿分のおはなしです。
ツバメは子狐たちと一緒に、先日から利用しておったところの宿坊でキャンドル教室を開講して、
その間に、神主さんが丁寧に丁寧に、本物稲荷狐の不思議なチカラをマシマシにして、
しゃん、しゃん。ご祈祷を続けます。

神主さんからツバメへの同情があったのか、
最初に納めておった祈祷料の半額が、後ほど、ツバメに返却されました。

枯葉のキャンドルが完成したら、あとはキャンプ場で調理遠足。
自分たちでゼロから作ったキャンドルは、はてさて、ちゃんと機能するのでしょうか……?

2/21/2026, 5:41:12 AM