ストック1

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私はバレンタインの精霊だ
そのせいだろうか?
日本へちょっと旅行へ行った2月14日
どこかで私の話を聞きつけたのだと思う
私のもとへ、主に女性がつめかけ、祈ったり願ったり、拝んだりしてきた
バレンタインでうまくチョコを作れますように
うまくチョコを渡せますように
チョコを貰えますように
などなど
中には私に手作りチョコを捧げる人まで
私は困惑しつつも、笑顔で幸あれと応える
手を振る
感謝される
みんな、私の言葉に感激し、嬉しそうに去っていく
そんな人々を見送りながら、私は心穏やかではいられなかった

……言えない
私がバレンタインの精霊と言っても、バレンタインデーの精霊というわけではないなんて
私、実は
英国の名門、バレンタイン家の守護精霊
彼らの先祖に大恩があり、その昔、彼らの血筋に連なる一定範囲の者たちに加護を与える、と約束していたのだ
騙す気はないんだけど、勘違いした人たちがあまりに期待に胸膨らませるようなキラキラした目で見てくるものだから、違うとは言えず……
せめて私も、あの人たちのバレンタインデーが幸せなものであるように、祈りを捧げよう
あー、でもなんだか罪悪感がわく
勝手に周りに勘違いされただけなのに

2/14/2026, 11:09:28 AM