前回投稿分から続くおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの経理部は形式的に、皆みんな、猫のビジネスネームを貸与されておりました。
その経理部所属のマンチカンがお題回収役でして。
「強くなりたい……ぼくも、強くなりたい!」
実はマンチカンの勤務する管理局、
管理局を推しの仇ほどに憎む組織、世界多様性機構の構成員によって、不定期に襲撃されるのですが、
前々回投稿分あたりで、まさかの経理部が襲撃の実害を被りまして。
捕まった犯人に八つ当たりパンチを食らわせると
犯人はちっとも痛がらず、逆にドストレートに
おまえ非力だな?
なんて言われてしまったのでした。
これがマンチカンにフェイタルヒットしたようで。
結果、同じ経理部のほぼほぼ最強枠、
万年コタツムリのエンジニア、
スフィンクスに、直談判です。
「スフィンクスさん!スフィンクスさん!」
仕事中に不思議なボタンを押して、スポンスポン、
カゴの上にミカンを召喚しているスフィンクスに、
非力マンチカン、言いました。
「僕も強くなりたい!
僕を、弟子にしてください!」
「ムリ」
召喚したミカンを剥いてポイポイ。
口に放り込むスフィンクスが即答しました。
「俺様、子分は募集中だけど弟子はとらねぇの。
強くなりてぇならキリンにでも頼みな」
はいバイバイ。
1敗のマンチカンはしょんぼり。
雪の静寂の中に、ぽつん、ひとり放り出されたような気分でありました(お題回収)
でもスフィンクスの言う通りかもしれません。
次にマンチカン、環境整備部に勤めている、
空間管理課のイケボマッチョさん、
キリンというビジネスネームの男性に直談判です。
「キリンさん!キリンさん!」
仕事が終わってプロテインなど飲むキリンに、
非力マンチカン、言いました。
「僕も強くなりたい!
僕を、弟子にしてください!」
「共に鍛錬をする分には、私も構わないが、」
ただただチカラを求めるマンチカンが、イケボキリンは少しだけ、心配です。
「まず、マンチくん。君は自分が、『どのような強さ』が欲しいのかを考えるべきだ。
ツバメ副部長に相談すると良いだろう」
はいバイバイ。
2敗目のマンチカンはしょんぼり。
雪の静寂の中に、ぽつん(お題略)
でもキリンの言うことも、もっともです。
最後にマンチカン、法務部に勤めている、
執行課の実動班の特殊即応部門の副部門長、
ツバメというビジネスネームの男性に直談判です。
「ツバメさん!ツバメ副部長さん!」
仕事が終わってコーヒーなど飲む副部門長に、
非力マンチカン、言いました。
「僕も強くなりたい!
僕を、弟子にしてください!」
「漠然と、強くなりたいと言われても、ですね」
頭の回転力、カラダの筋力量、いろんな「強さ」がありますので、ツバメも少し考えます。
「そうだな。 どうでしょう、私と一緒にまず、
『どのように』強くなりたいかを探してみるのは」
「はい!探したいです!」
これでやっと、強くなれる!マンチカンは大喜び!
ツバメの手を握り、感謝でぶんぶん上下に振り、
マンチカンはさっそく、強くなるための特訓を
する前に、最後のお題回収を、させられました。
「それじゃあ、マンチカンさん。
自分自身と対話するために
ちょっと私と雪原キャンプをしましょう」
「え?」
「さいわい、自分自身の気持ちと向き合うのに、丁度良い場所を知っています。
マンチカンさん。今すぐ、カンペキな防寒対策をして、もう一度ここに、
いや、良い。私のを貸します。行きましょう」
「え……??」
善は急げ。
マンチカンはマンチカンらしく、首根っこをキュッと掴まれて、ツバメに連行されまして、
極寒の夜、無風の低温、
雪の静寂の中に放り込まれまして、
数時間、ツバメと一緒に自分を見つめ直しました。
「さむい……」
非力マンチカンはその後、低温に長時間さらされましたが、ツバメが雪の静寂はらっぱ近くに湧く天然温泉を知っておりましたので、
そこでぬくぬく、温まりましたとさ。
12/18/2025, 6:20:42 AM