人間は無いものねだりだというけれど、私は太陽のような存在感が欲しいと思っている。それは学生の頃からずっとだ。
同じ部署の彼女は、いつも明るい。失敗しても笑い、誰かが落ち込んでいれば、何も言わず隣に立つ。窓から差す朝日みたいに、そこにいるだけで空気がやわらぐ。
私はその光を、少し離れた席から浴びている。
ある朝、始業前の給湯室で彼女が小さく息をつくのを聞いた。デスクに向かって歩いてくる顔は、ほんの少し雲がかかっているようで、いつもより光が薄い。
太陽にも昇る前の暗さがあるものだと、大人になってやっと気が付いた。
その日、私は初めて自分から挨拶をした。
「おはようございます」
私を見て、彼女はやわらかく笑った。
太陽のようにはなれないかもしれない。それでも、誰かにほんの小さな光を足せる人にはなりたい。
『太陽のような』
2/22/2026, 11:27:01 PM