ずっとずっと、好きだった。
高校生の頃からずっと、貴方だけをみていた。恋をすると、不思議と目が彼を追って一瞬でさえ見逃したくなくて。笑う顔、楽しそうな顔、ちょっと不満そうな顔。どれも見るたびに心がドキドキと高鳴り、ずっとずっと彼との時間が続けばいいなと、彼の中の一人の友人として、密かな恋心を描いていた。
独り占めしたい気持ちはあれど、その気持ちを伝える気はない。カッコよくて、面白くて、何でも出来ちゃう彼の隣は、私じゃない。可愛くないし、面白い話も出来ない不器用な女の私が彼に相応しいわけがない。
彼が話しかけてくれる度、相手をしてくれて嬉しい気持ち反面、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。もし今、私が学生なら相手をしてくれた分だけ彼に投げ銭したい気持ちになる。
そんなこんなな片想いを引きずったまま、彼の仲良しのグループの一味として大人になった今も交流がある。
定期的に集まって飲み会をしていたのに、仲良しグループのメンバーはどうやら世渡り上手な人間が多かったみたいで次々と結婚だ、妊娠だと飲み会に不参加する者が増え、ついには私と彼だけが残ってしまった。
「みんな、来なくなっちゃった、ね」
「だね」
居酒屋、二人だけの飲み会に焦りを隠せない。
二人席に向かい合って座るが、正面の彼の顔がかっこよすぎて直視出来ない。何年経ってもかっこよくて、年々カッコ良さが増している。
なぜ彼が残るんだ。なんならグループ一のイケメンだぞ、女ども何処に目をつけてるんだ!!
と思いながらも、彼が結婚していない事にほっとしている。多分、受け入れられずに泣き散らすだろう。
「でも私一人じゃないからまだほっとした」
「俺も。お前が居てくれて良かったよ」
「ていうか、彼女居ないの?モテそうなのに」
「うん、モテるよ」
「随分と堂々と言うね」
「俺が居なくなったら寂しいでしょ?」
「それは……」
だって彼の隣にも、いつか誰かがやってくる。その時は、もしかしたらすぐそこかもしれない。
寂しくないと嘘をつきたいけど、友達からそんな事を言われるのも傷つくかなと節目がちに言葉を濁す。だが言葉を考える間もなく、グラスを持っていた指に彼の指が触れた。
「だからさ、そろそろ正直になって欲しいなって」
「正直……?」
「うん。ずっと俺もお前のこと見てたから分かるよ。だから一歩踏み出してくれたら、その先は俺が言う」
ひみつの恋はバレていたみたい。指先から伝わる熱がやけに暑い。それでも、その熱がたまらなく嬉しくて声を漏らす。
「さみ、しい」
その先にある彼の想いがほしいから。
9/3/2025, 3:16:54 PM