好きな人は優しい。私にも、友達にも、知らない人にも。優しいあまりに、ライバルは多い。だけど、彼は告白してきた相手が悲しまないように告白を断る。最後まで優しい彼が私は好きだ。それ故に、自分も彼にとっては特別な存在じゃないんだと思っている。
ただ同じ学校の、同じクラスで。たまたま隣の席の女の子。
隣の席に座っていても、会話はクラスメイト達と同じくらい。頑張って話そうとしても彼の好きなモノが知りたくて、質問責めしてしまったことがある。
こんなの好きって言ってるようなものだ。だけど、彼は私の気持ち等知らずに、善意で全て答えてくれた。自分自身、何を聞いてるんだってキモすぎて恥ずかしくなったのに、それさえ包み込む彼の善意には脈なし過ぎて流石に傷ついたけど。
ここまできたらキモくてもダサくてもいいから、地べた這いずり回ってでも、彼を振り向かせたい。
来週末、少し遅れた花火大会がある。この花火大会は、好きな人と見ればずっと一緒にいれるというジンクスが有名で、この地域で知らない人は居ないだろう。
残念なことにクラスの男子と彼は一緒に行く約束をしていたし、私も女友達と行く約束をした。だけど、その花火を見る時だけでいい、彼とがいい。
ホームルームが終わり、日直だった私達は教室に残り後片付けを進めた。最後まで丁寧に終わらせる彼の姿に胸を高鳴らせ、思わず彼の名前を呼んだ。
「ん?どうした?」
優しい笑顔で私を見る、その表情が好きだ。
「あのね、今度花火大会あるでしょ?その時さ……一緒に、花火見てくれない、かな」
「あぁ、花火大会には行くけど友達と行くんだ」
「し、知ってる。私も友達と行く予定なんだけど、さ」
「そうなんだ。そうだ、みんなで一緒に行かない?そしたら一緒に見れるしさ」
そして、その優しさも。
だけど私は優しくはない。その優しさを踏み躙っても貴方を奪いたいんだ。
「違うの、一緒にみたいの。ふたりで。……意味、分かる?」
彼の手にそっと手を添えて訪ねる。
ここで断られれば、脈はない。でも、それで簡単に諦めてたまるか。
強気で言っても、心臓はバクバクうるさい。ついでに顔も恥ずかしくて熱くなる。なのに一向に返事が返ってこないから顔を上げると、彼は真っ赤な顔をしていた。
「え、あ、っと……はい。ぜひ」
これは脈アリかもしれない。
/ふたり
8/30/2025, 5:48:54 PM