『バレンタインはドーナツ』
「はい、これ」
彼の前に袋を差し出す。彼は顔を輝かせてその袋を受け取ってくれた。
「俺に!?ありがとう!!何入ってるの?」
「ドーナツだよ。手作りしてみたの」
「わぁ!手作り!?凄い!ありがとう!!」
彼の純粋無垢な笑顔に、私もニコリと笑い返す。
良かった、受け取ってくれた…。今日のミッションは成功だ…。
あ、そういえば!と彼が声を上げる。
「今日はよくお客さんからチョコを貰うんだけど、どうしてわかる?」
あぁ、そうだ。彼は人間界には来たばかりなので、バレンタインという文化を知らないのか。
私はバレンタインとか何かということを説明する。…少し嘘を交えたけど。
「そっか!普段お世話になってる人に感謝を伝えるためにチョコを贈り合う日!とっても面白そう!」
説明を聞いた彼の目が輝いた。お菓子好きの彼からしたらこの日は天国だろう。
「別にチョコに限らなくてもいいんだよ。クッキーとかカップケーキとか」
「へー!そうなんだ!俺も今から贈りもの探してくる!」
教えてくれてありがとうー!と元気に走り去っていく彼に手を振った。
彼はあの子に渡すんだろうな…。とっても可愛くて、とっても優しいあの子に。
はぁ、と少し息を吐く。
私じゃあの子に叶わない。…それでも、貴方を想うことだけは許して。
「…さてと、私も自分チョコ買っていこうかなぁ」
少し軽くなった鞄を抱え直し、私はお気に入りのお菓子屋に歩き出した。
ドーナツ=大好き
【バレンタイン】
2/15/2026, 2:14:50 AM