〈凍える指先〉
冷たい風が強い運動場で体育があったせいで、指が動かなくなってしまった。ボタンを止めるのに手間取りながらなんとか着替えた後、急いでポケットのカイロを握った。しかしその小さな袋は、私の指を温めるどころか私の手の冷たさでぬくもりを失ってしまった。息をするたびにメガネを曇らせながら、頑張って四階まで上がり辿り着いた教室は、換気をしていたので外に負けないぐらい寒く、私の指は余計に凍えてしまった。体育が6時間目で、もうペンを握る必要がないことが唯一の救いだ。
やっとのことで家に着くと、誰よりも先に愛犬が迎えてくれた。甘えん坊の愛犬は私の帰宅があまりにも嬉しいらしく、耳が見えないくらいにひっくり返り、尻尾をぶんぶん振っている。靴を脱いで彼女の頭を撫でると、手をペロペロと舐めてくれた。愛犬と戯れているうちに凍えた指先はまたいつも通り動けようになった。
どんなに凍えていても可愛い動物と戯れているといつの間にか温まってしまう。カイロや暖房や高い手袋よりも温めてくれる動物は偉大だな、と思う。
12/10/2025, 7:33:42 AM