せつか

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素敵な人だと思った。
仕事は出来るし私達新人にも気さくに話しかけてくれるし、駄目なものは駄目と上司にもはっきり言うし。
こんな人になりたいと思った。
そしてその憧れは恋へと変わっていった。

「好きです」

勇気を振り絞って告白した。
この人は私をただの後輩としか見ていない。
でも、決して悪くは思っていない筈だ。だったら0からスタートして、少しずつプラスに進めていけばいい。
お付き合いしてる人はいないと言っていたし。

「俺のことが好きってこと?」
「はい」
「·····」
「あの、ご迷惑でしたか?」
「俺はさ、仕事のデキるパートナー、もしくは部下としての君は認めてるけどそういう感情は持ち合わせていないんだよね」
「少しの可能性も無いですか」
「悪いけど、君に対してだけでなく、誰に対しても持ってないってことだから。その、そういう感情」

――0からのスタートだと思っていた。
でも、どうやら違っていたらしい。
そもそもスタート地点自体が存在しなかったのだ。

生まれたばかりの恋はたった数日の命だった。


END


「0からの」

2/21/2026, 11:36:57 PM