【10年後の私から届いた手紙】
中学生の時、ちょうど学校の周年記念があり、その際に未来の自分に向けて手紙を書いた。10年後の自分に向けて、好きなように書いてきてください、と。誰に見られるわけでもない。これは未来の自分しか読まないものだからと、恥ずかしい当時の想いを書き連ねていったのを覚えている。
そんな黒歴史の塊が今日届いた。
「十年後の私へ」
茶色の封筒には、今と変わらない斜めに傾いた字が大きく書かれている。少し憂鬱になりながらも封を切り、三つ折りにされていた紙を広げる。約20行ほどある紙はびっしりと文字で埋まっており、更に2枚あった。当時の私はどれだけ文字を書くのが好きだったんだ。
「お仕事は何してるんだろう。接客業かな? 一回はやってみたい。もしかして、なにか特技を見つけて頑張ってるのかな。今の私は、小説家になりたいです」
当時、本を読むのが好きで図書室に入り浸っていた。いろんな本を読んで、こんなふうに夢を見せてくれる物語を私も書きたいと思っていた。しかし、そんな簡単にはいかない。構成の仕方、世界観、キャラの特徴、全てを把握して物語を進めていくのは難しかった。ちまちまとネットにあげたりはしていたが、反応は悪く「結局これどういうこと?」など批判的な声も多かった。
「国語得意だし、みんなを惹きつけられる本を書きたいな。物語に入り込める私ならきっとできるよね」
夢に溢れた言葉が並び、キラキラして見えた。この時、私はこんなに輝いていたのか。大学受験に何度も失敗し、現実を受け止めるのが辛くて何もかもを諦めた。夢も、希望も、何もかもを捨てた。のらりくらりとバイト生活を繰り返し、毎日死んだように生きている。
「100歳まで生きなくていいから、やりたいことをやりきれるといいな。夢を叶えられてる自分に期待します」
最後の一文に涙が溢れてきた。
ただ生きてるだけの自分が情けなくて死にたくなった。この気持ちをどこかに吐き出したくて、紙とペンを持つ。この手紙に返事を書こう。今のやるせない腐った気持ちに区切りをつけたく、伸び切った髪を束ねて机に向かった。
2/16/2026, 1:45:01 AM