『同情』
朝の忙しない雑踏の中、私の視線はある一点に
釘付けになった。
前を歩く、幼い子を連れた老人。
孫を幼稚園にでも連れていくのだろうか。
その幸せな景色の中に、ほんのわずかながら
異物が混じっている。
それを無視することは容易い。
気がつかなかったことにすればいい。
でも、本当にそれでいいのだろうか。
この先に起こるであろう未来を、見なかったことにしてしまって本当にいいのだろうか。
防げるのは今、きっとわたししかいない。
やはり、無視はできない。
同情と言われても良い。
勇気を出し、わたしは老人に声をかけた。
「すみません。
肘に食パンついてますよ。」
※実話です。
2/20/2026, 4:14:19 PM