浴室の曇りガラスにシャワーをかけると痩せこけた姿が現れ、あばら骨がそれを補強する。湯船に足を浸かりながら、棺桶にも足を踏み込んでいる姿は90代と遜色ない。常にコルセットを巻きつけているような圧迫感が全身を湯船に浸すことで幾分かマシになる。だが今度は凄まじい疲労感で立てなくなり、半水浴の状態で何とか立ちあがろうと片足を曲げた姿で10分ほど努力する。ボクが入浴を終えれば父親が "くそっ!クソっ!"と悪態を吐きながら風呂掃除をするのだろう。鏡は新入社員のように凍りついていた。軽い同情を覚えつつ、せめてもの救いにと湯船に浮かんだ汚れを救っておく。
題『凍てつく鏡』
12/27/2025, 7:36:24 PM