分厚い氷がそこら中に広がる世界。
思ったよりも寒くはないが、
他より寒く、
まるで凍てつく鏡。
なんせこんな氷しかないとこだから、
教育を十分に受けてない。
この比喩とやらが
正しい使い方なのか、
ここの誰も知りやしないし
気にもしない。
氷売りの仕事は朝早い。
どの氷をどの分だけ
取って持っていくか、
あらかじめ決まっている。
ツルハシをテンポよく
同じ力の強さで振り下ろし、
取れた氷に紐を括り付け
持っていく。
荷車に乗せて、
何人かで押して運ぶ。
氷売り仲間はみんな
こんな寒い中でも平気だった。
けど、
私は冷たいのも寒いのも
何故か大丈夫じゃなかった。
毎日手袋を5枚重ね、
コートを重ね着して作業していた。
"Good Midnight!"
力仕事だけに見えて
こんな所にも
才能って、技術って、
いるんだなぁって。
私はただ
凍てつく鏡のように
そっと輪から外れていった。
12/27/2025, 4:48:09 PM