「やめてくれ…やめてくれぇ!!」
ススキ林に、悲鳴が鳴り響いた。
黄金色がめいっぱい広がり、大の大人が埋もれてしまうほどのススキが、風に従って揺らめいている。
誰かの情け無い命乞いが聞こえた後、断末魔と、ぐしゃ、という音が聞こえた。
それから暫くして、少し離れた、ススキ林の終わりから、誰かが姿を表した。
二本足に、二本の腕、頭部が一つで…見るからに、人間だった。
その人間は、虚な眼で振り返り、自分が通ってきた鈴木林を見つめた。
右手には、銀色の長剣を手に持ち、左手には、銀色の天秤を手に持っている。
長剣には、赤い液体がべったりと付着している。
振り向きは数秒にも及ばず、すぐに頭を戻して、二つの手を近づけた。
剣と天秤は、すぐさま一つとなり、天秤がついた銀の長剣へと姿を変えた。
人間はその剣を、腰に巻いたベルトに固定して、身なりを整える。
「行こう」
その言葉を受け、人間は足を動かし始めた。
まるで、剣に取り憑かれているかのように。
お題『今日にさよなら』
2/18/2026, 1:53:06 PM