たーくん。

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外から微かに聞こえるクリスマスソング。
長年ここで骨董品屋をしているが、客はだんだん減り、今では一日に客一人来るか来ないかだ。
まぁ、私はここが好きだから店を閉める気はない。
店内に置いているキャンドルの火がゆらゆらと揺れる。
どうやら、客が来たようだ。
「メリークリスマぁス!」
店内に入ってきたのは、サンタの格好をした男性。
「いらっしゃい。何をお探しかな?」
「ふぉっふぉっふぉっ。プレゼントを貰いに来た」
サンタの格好をした男性は、おかしなことを言う。
プレゼントを渡す側が、貰いに来るとは、どういう意味だ?
「ジジイ、金出しな!」
サンタの格好をした男性はポケットからナイフを取り出し、私に向けた。
どうやら、強盗らしい。
「客がいない店を狙うとは考えたな。だがな……」
レジの下に隠していたショットガンを取り、サンタの格好をした男性に向ける。
「相手が悪かったな。私は元猟師だ。一撃で仕留めてやるぞ」
「やだなぁ爺さん。クリスマスジョークだよ……よ、よいクリスマスをぉぉぉ!」
サンタの格好をした男性は、慌てて店から出ていった。
キャンドルの火は大きく揺れ、消えてしまう。
まさか強盗が来るとは……。
因みに、このショットガンには弾は入っていない。
あのまま切りつけられてたらと思うと、ゾッとする。
まったく……この町も物騒になったものだ。
扉に鍵を掛け、キャンドルに再び火をつけた。

12/23/2025, 10:06:54 PM